コーヒー産地直送!~Qグレーダーの中米便り~

コーヒー鑑定士が産地から、超愛飲家・プロ向けにスペシャルティコーヒー事情や経験談を生中継!

MENU

Qグレーダー取得の決断(パート2/2)

私がどの様にしてコーヒーの世界へのめり込んだか、何故Qグレーダーと言うしんどいコーヒーの資格を取得するに至ったか?その質問に対して、前回はスペシャルティコーヒーとの出会いと「一味惚れ」からカナダ人のコーヒーのプロ、ベンとの初対面まで綴りましたが、今回はその続きです。

コーヒーの世界へ浸る決意

コーヒー借款案件に携わったお陰でベンという、 日本に大変興味を持つ、中米で有数の農園及びコーヒーショップ・チェーン店オーナーに会える事になった私は、新たなコーヒーの世界への縁が出来てとても嬉しい気分でした。またこれからコーヒーとの新たな関係を持てるのかも知れない、位の認識しか無かったことは今振り返ると笑えますが・・・。

 

で、ベンとの初顔合わせの後、色々と忙しかったのですが自分と、再婚したばかりの妻の人生について多くを考えたニヶ月が過ぎました。そしてある日再度ベンと会い話をする機会を作るがごとく、ある週末我が家の夕食にベンを迎えました。

f:id:drcoffee:20190716071043j:plain

妻とグアテマラでのハニー・ムーン中に訪れた数々のコーヒーショップの一店舗にて

我が家の芝生の庭での夕食は、中米の涼しい夜、晴れた星空、ワインと言う満点のコンビネーションのお陰もあって話は弾みました。そこで私はベンに、コーヒーの世界へ戻る決意を伝えたました。自分はこれからたまらなく好きなコーヒーを職にするのだ、と。

 

理想的な生き方追求の一環としてのコーヒーへの転業

正式な大学以上の教育はエンジニアリングと経済学を経て、仕事も経済や経営の分野が主だった私にとって、コーヒーの世界に浸る決意は一大的なものでした。長くて4年毎に職場を変えている私にとっては、転職は何度もしており、それぞれの職場で業務の内容も多少違う性質のものを経験してきているのですが、コーヒーへの転業は正に大きな職種転換を覚悟しての事でした。

 

と言うのも、今回コーヒーに入るからには味の追求に近い部分で働きたかったからです。コーヒーを扱っているどこかの企業に入社してアドミ関係の仕事をしたいのではなく、日々コーヒーの味を左右する、或いはそれに関連する仕事をしたいのです。いわゆる職人的な仕事をしたい、と言う願いからコーヒーに携わりたいと言う決心をしたのです。

 

そう言う思いに至るには、スペシャルティコーヒーに心を奪われてからは、こんな楽しい事を仕事として生きていけるのか、という思いと共にそれ以外の事を仕事とするのが人生の生き方として勿体なく感じる様になったからです。短い人生だからこそ、好きで満足できる内容の仕事でなくともただ単になるべく高給を得られる事を目的として働いたら、人生を無駄にしてしまう事に気がついたのです。お金を稼ぐのが人生の最大の目標ではないだろう、幸せを最大限に追求する事が最優先だろう、と言う結論からです。

 

正直言いますとより具体的に何をするか、と言うところまでは決めていませんでした。でもベンにそんな自分の覚悟を伝えたら、それでは日本にとても興味がある自分は日本市場に自分の農園のコーヒーを売りたいし一緒に何かをやろう、と言うとても前向きな返事をもらい、双方の思いが上手くマッチした形でのパートナーシップの開始となったのです。

  

え、2ヶ月後にQグレーダー受験?!そんな無茶な~!

ベンとQグレーダー資格受験を決めたのはその一週間後でした。彼の高度1,400メートルの農園にある別荘に妻と一緒にその週末の一泊二日で誘って頂いたのですが、そこで自分たちのパートナーシップをどのように発展させるかと言う話をする事になっていました。具体的には、コーヒーから少し遠ざかっていた私の技術的な訓練計画をどうするかと言う話です。カッピングから始めるべし、という事は決まっていたのですが、私にはより具体的な提案がありました。
 

f:id:drcoffee:20190716065901j:plain

ベンの別荘ベランダからの北部山々の眺め
別荘には土曜日午前半ばに到着し早速その日の一杯目のコーヒーをベンが入れてくれ、別荘の二階のベランダで北部の山々の景色と共に楽しんでいました。とその時、私はベンに言ったのです、「10年前から自分はQグレーダー資格を持ちたいと願っており、カッピングの訓練を折角するならQグレーダー資格取得を念頭としたらどうか?」と。そう言った私がベンから期待していたのは、「良い案だが、Qグレーダーは何年もコーヒーで働いている専門家でも簡単に取れる資格ではないので、数ヶ月、或いは数年訓練してから受験するのが妥当だろう。」と言った内容の回答でした。
 
その期待を裏切るかの様にベン曰く、「とても良い案だ。自分もQグレーダー資格取得をしようと最近願っていたところだ。丁度二ヶ月後に十数年前にコーヒーを教えて頂いた米国サンフランシスコ郊外にあるコーヒー研修所長が率いる Qグレーダー研修兼試験があるから、二人で受験して来よう!」。私:「ああ、二ヶ月後・・・。ちょっと待てよ。え、二ヶ月後?うそでしょ。冗談でしょ?!」ベン:「よし、決まり!」
 

いざQグレーダーになるべし!

と、こんなメチャクチャないきさつで受験を決めてしまったQグレーダー試験でしたが、二人ともその一週間後には共に受験の申し込み、サンフランシスコまでの往復のフライト、宿泊先を無事に(?)確保しました。正直、こんなんで大丈夫か~、まあ合格は絶対無理だろ~、と言うダメ元が本音の船出でした。
 
次回からはサンフランシスコでの研修の受講と受験に至るまでの、ベンによる中米での訓練について書きます。